よくある質問
ふるえ司法書士事務所にご関心をお持ちいただき、誠にありがとうございます。
家族信託やその他業務、どのようなことでもお気軽にお問合わせください。
お問合せ内容の確認後、ご連絡させていただきます。
相続・遺言について
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相続登記とはどのような手続きでしょうか。+
相続登記とは、不動産の所有者が亡くなった後、不動産の名義を亡くなった方から相続人の名義に変更する手続きをいいます。必要な書類をそろえて管轄の法務局に登記申請することで、不動産の所有者が変わったことが登記簿上に記録されます。
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相続登記を放置しているとどのような問題があるのでしょうか。+
相続登記をしていない不動産は、売却したり担保にして融資を受けたりすることができません。相続した不動産の売却を考えている場合は、必ず相続登記を行う必要があります。
また相続登記を長年放置していると、相続人の方が認知症になってしまったり、お亡くなりになってさらに二次相続が発生する可能性もあり、手続きが非常に複雑になります。相続登記は早ければ早いほど、手間も費用もかからずにすみます。
先般の法改正により、2024年から相続登記が義務化されることになりました。これまでは任意だった相続登記も3年以内の申請が義務付けられ、放置していると罰則(10万円以下の過料)の対象となる可能性があるので注意が必要です。
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相続手続きを扱う専門家は多くいますが、どこに相談すればよいでしょうか。+
相続業務を扱う専門家には弁護士、税理士、司法書士、行政書士等がいますが、まずは司法書士に相談されることをお勧めします。相続財産の中に不動産がある場合、名義変更(相続登記)ができるのは司法書士だけです。相続税に関する相談や申告は税理士、相続についてトラブルが起きている場合は弁護士が対応しますが、それ以外の相続手続きについては、戸籍の収集から遺産分割協議書の作成、相続登記申請、預貯金・株式等の名義変更まで一連の手続きを司法書士が行うことが可能です。お話を伺う中で必要であれば、信頼できる税理士や弁護士を手配することもできますので、まずは私たち司法書士にご相談ください。
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相続手続きを始めるにあたって、まず何を確認すればよいでしょうか。+
相続手続きを始めるにあたっては、大きく分けて次の三つの確認が必要です。
①遺言書の有無の確認
②相続人の確定
③相続財産の調査
まず①の「遺言書があるかどうか」をご確認ください。正式な遺言書がある場合、原則として、遺産の分け方については遺言書の内容が優先されます。手続き上も遺言書があると必要書類が少なくてすむ場合が多いです。
なおご自宅などで自筆の遺言書が見つかった場合、勝手に開封してはいけません。家庭裁判所で遺言書の「検認」という手続きが必要になります。(公正証書遺言は公証役場に保管されていますので検認は不要です。)
②と③の調査は戸籍の収集や金融機関への問い合わせ等、時間のかかる手続きです。ご依頼いただければ必要な調査・書類の取得をまとめて当事務所が行うことも可能です。
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相談時に用意しておくものはありますか。+
名義変更される不動産の所在地がわかるもの(固定資産税の納付通知書、権利証等)があればご用意ください。わからない場合は物件の住所からお調べすることもできます。またご自身で取得された戸籍等の書類があれば、お持ちいただければスムーズです。
初回のご相談は無料ですので、まだ何も準備していない、何から始めればよいかわからないという方でも大丈夫です。お気軽にご連絡いただければと思います。
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誰が相続人になるのかわかりません。+
誰が法定相続人になるのかは民法で定められています。亡くなった方の配偶者は常に相続人となり、子どもがいる場合は子ども(先に子どもが亡くなっている場合は孫)、子どもがいない時は親、子どもも親もいない時は兄弟姉妹(またはおい・めい)が相続人となります。
相続人を特定するには、亡くなった方の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を取り寄せて相続人の確認をしなければなりません。戸籍の収集は大変手間がかかりますし、集めた戸籍を読み解くのはさらに難しく感じる方が多いと思います。古い戸籍は手書きの旧字体で書かれており、慣れていないと読み間違えることもあります。相続関係の特定には専門知識が必要ですので、ご不安のある方はご依頼いただければと思います。
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相続登記の費用はどのくらいかかりますか。+
不動産の相続登記にあたって必要となるのは、登録免許税、書類取得費用などの実費、司法書士に依頼した場合の報酬費用等です。
登録免許税は不動産の評価額の0.4%(1000万円の不動産だと4万円)と定められています。ケースによって免税措置が適用される場合もあります。実費としては戸籍や住民票の取得に1通数百円かかります。一般的にはすべての書類を取得するのに数千円~1万円程度かかりますが、集める戸籍が多いと取得費用も高くなります。
司法書士報酬については各事務所により異なってきます。ご依頼いただいた内容により具体的なお見積をさせていただきますので、不明な点、わかりにくい点がありましたらご遠慮なくお尋ねください。当事務所の一般的な相続手続き料金についてはこちらをご覧ください。
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相続登記が完了するまでにどのぐらいの時間がかかりますか。+
相続登記を申請してから登記が完了するまでにかかる期間は、管轄法務局の状況にもよりますが、だいたい1週間から2週間ほどです。実際には登記申請をするための準備期間(戸籍や必要書類の収集、遺産分割協議書の作成、相続人の方全員からの署名・捺印等・・・)に時間がかかります。戸籍等の必要書類がそろい協議もまとまっていれば、それほど時間はかからずに登記を完了させることができます。
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相続税はかかるのでしょうか。+
相続税は常にかかるとは限りません。相続税には基礎控除=3000万円+(600万円×法定相続人の数)があり、相続財産が基礎控除額以下であれば相続税を支払う必要はありません。しかし支払いが必要な場合は、亡くなってから10か月以内の申告期限があるので注意が必要です。相続税の申告やアドバイスについては専門の税理士をご紹介できますのでご安心ください。
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遠方の不動産の相続登記も依頼できますか。+
可能です。オンラインや郵送により、全国どこの不動産についても相続登記の申請が可能ですので、ご相談ください。
家族信託について
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平日の夜間、土日祝日の相談には対応していますか?+
事前にご連絡頂けましたら、平日の夜間、土日祝日でも対応致します。
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家族信託の相談に費用はかかりますか?+
初回のご相談は無料です。 2回目以降のご相談は、1時間あたり1万円(税別)の費用がかかります。
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遺言書を作成していますが、家族信託は必要ありませんか?+
遺言書を作成していても、家族信託を締結することは可能です。 家族信託の内容が遺言書に抵触する部分は撤回されたものとみなされます。 遺言と家族信託では役割と効力発生時に違いがありますので、お気軽にご相談下さい。
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家族信託契約を長男と結ぶ時、他の家族の同意は必要ですか?+
委託者(父親)、受託者(長男)とで家族信託を契約することができます。契約当事者以外の同意は不要です。 法律的には同意は不要ですが、契約当事者以外の家族にも家族信託の内容を知ってもらい、同意を得ておくほうが良いです。 家族間でしっかりと打ち合わせをして、皆が納得する円満な契約にしましょう。
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家族信託は公正証書で作成しないといけませんか?+
公正証書とは、公証人法に基づき法務大臣に任命された公証人が作成する公文書です。 公証人とは、裁判官や検察官、法務局長などを永年勤めた選ばれた法律の専門家であり、準公務員という扱いになります。 公正証書は両当事者(代理人も可能)が立会い、公証人によって作られるものです。 公証人には法律の専門家で、公正、中立な人が選ばれるとされています。そのため、本当に本人が作成したのか、きちんと合意を反映しているかなどについて、強い証拠力をもちます。 家族信託は、お互いの合意があれば成立します。 信託法では家族信託を公正証書で作成しなければならないとは定められておりません。 当事者間の私文書で作成した場合も有効ですが、公正証書で作成するほうがよいです。 特に認知症対策としての家族信託の場合、委託者が認知症になった場合に、より信託契約の効果が発揮されます。その時に家族信託契約の効力が争われる可能性もゼロではありません。 公正証書ですと公証人が作成に関与していますので、より安心できると思います。
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家族信託は途中で変更することはできますか?+
信託の変更は信託法149条に細かく規定されています。 原則は、委託者、受託者及び受益者の合意によって変更することができます。 信託契約時に変更の方法を規定することもできます。 信託の目的に反しないことが明らかであるときは、受託者及び受益者の合意で変更することが可能です。 信託の目的に反しないこと及び受益者の利益に適合することが明らかであるときは、受託者の書面又は電磁的記録によってする意思表示により変更できます。 受託者の利益を害しないことが明らかであるときは、委託者及び受益者による受託者に対する意思表示で変更することができます。 信託の目的に反しないこと及び受託者の利益を害しないことが明らかであるときは、受益者による受託者に対する意思表示で変更することができます。
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家族信託は途中でやめることはできますか?+
信託の終了事由としては以下のようなものがあります。
・信託の目的を達成したとき、又は信託の目的を達成することができなくなったとき
・受託者が受益権の全部を固有財産で有する状態が1年間継続したとき
・受託者が欠けた場合であって、新受託者が就任しない状態が1年間継続したとき、委託者と受益者の合意によっても信託を終了させることができます。
また、信託行為で定めた事由が発生したときも信託は終了します。
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認知症の場合に家族信託は契約できますか?+
すでに認知症になり判断能力がない場合は家族信託を使うことはできません。
契約には判断能力、意思能力が必要となります。
判断能力が完全に失われた状態ですと、家族信託ではなく成年後見制度を検討することになります。
ただし、成年後見制度にもメリットとデメリットがありますので、申し立てに際してはご相談頂ければと思います。
重要なことは、ご本人が元気なうちに老後について家族と考えること、だと考えています。 元気なうちでしたら、家族信託の利用は選択肢となります。
元気なうちにしか検討することができない制度です。 家族信託には、成年後見制度にはないメリットもたくさんありますので、お気軽にご相談下さい。
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家族信託と成年後見の違いは?+
成年後見制度とは、認知症などで判断能力が不十分なために不動産や預貯金などの財産を管理したり、身のまわりの世話のための介護サービスや施設への入所にかんする契約を行えない人を後見人が代理し、必要な契約等を締結したり財産を管理したりして本人の保護を図るものです。
成年後見制度は、大きくわけると「法定後見制度」と「任意後見制度」の2つがあります。
「法定後見制度」は、家庭裁判所が後見人を選任します。
「任意後見制度」は、元気なうちに本人が後見人をあらかじめ家族などに決めておくことができますが、後見人が正しく後見できているかどうかを監視する「後見監督人」を家庭裁判所が選任します。
成年後見制度が効力を発するのは、本人が認知症などで判断能力が低下してからです。 本人が元気なうちは成年後見制度を使うことはできません。これに対して、家族信託の効力は契約締結時からスタートします。
また成年後見制度では、後見人はその職務について家庭裁判所の監督をうけることになります。 定期的に家庭裁判所に後見事務の内容を報告する義務があります。 家族信託では、家庭裁判所の関与はありません。より柔軟な財産管理ができます。 認知症になった場合に施設へ入所して、実家が空き家になった時の不動産の売却についても、家族信託と成年後見制度では違いがあります。
法定後見制度では、居住用不動産を売却するのには、家庭裁判所の許可が必要です。
不動産を売却する為に成年後見制度を検討される方がおられますが、家庭裁判所の許可が出なければ売却する事はできません。 家族信託であれば、信託契約時に決めておけば、居住用不動産であっても家庭裁判所の許可を得ることなく受託者の権限で売却する事ができます。 家族信託を始める方法とは?
家族信託を始める方法は信託法第3条に3つ定められています。
①信託契約です。委託者と受託者とが契約する方法です。
②遺言信託です。遺言書に信託する旨を書いておく方法です。遺言者が死亡した時から効力が発生します。
③自己信託です。委託者自身が受託者となり、他の誰かの為に自己の財産を管理・処分する方法です。
自己信託は公正証書等により作成しなければ効力がありません。
一般的に「家族信託」という時は、①の信託契約による方法を指すことが多いようです。
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家族信託と遺言の違いは?+
効力の発生するタイミングに違いがあります。 遺言は、遺言者が亡くなった後から効力が発生します。 家族信託は、家族信託契約時に効力が発生しますので生前に効力が発生します。
遺言は相手方のいない単独行為です。自分一人で誰に財産を残すのかを決めることができます。 遺言は生前中には効力が発生しませんので、認知症対策にはなりません。
認知症になった時に介護施設へ入居する時には、入居費用や介護費用が必要となります。 空き家になった自宅を売却して、売却費用を今後の老後の費用にしようと考えている方は少なくありません。
その時に何も対策をしていないと不動産を売却する事ができません。
遺言書を書いていたとしても、認知症対策にはなりません。 元気なうちに家族信託を使い対策をしておくと、ご自宅の売却も可能です。
家族信託を使った方がよいケース、遺言を使った方がよいケース、家族信託と遺言の両方を使った方がよいケース、ご相談者様によって様々です。初回のご相談は無料ですのでお気軽にご相談下さい。
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家族信託と遺言信託の違いは?+
遺言信託とは、信託銀行等が遺言書作成の相談から、遺言書の保管、そして遺言書の執行まで相続に関する手続きをサポートするサービスです。
遺言信託は信託銀行等の手数料が高額となる事が挙げられます。
詳細は各金融機関のホームページを参照頂ければと思いますが、契約時に20~30万円、相続開始時には相続財産の価格に応じて(最低100万円)必要となります。
遺言信託は「信託」という言葉が入っているため、家族信託と同じように捉えられることがありますが、委託者・受託者・受益者が存在しませんので、法律上の「信託」とは無関係です。
家族信託のご相談を受けていると、「このケースは家族信託ではなくて遺言書の方がよいですね」という事があります。弊事務所では、遺言書作成のサポートも行っておりますのでお気軽にご相談下さい。
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家族信託と商事信託の違いは?+
商事信託は、信託銀行や信託会社が受託者となり、財産の管理・処分を行います。
信託銀行や信託会社は受託者としての手数料を目的としております。このような営利目的の信託は「商事信託」と呼ばれています。
家族信託は、長男や長女などの家族が受託者となりますので、受託者としての報酬を支払う必要はありません。信頼する家族に財産を託すので「家族信託」と呼ばれています。
商事信託は、営利を目的としていますので、一定のまとまった財産がないと取り組む事ができません。また自宅などの不動産は原則として信託する事はできません。
家族信託は、実家や自宅を信託する事ができますので、元気なうちに家族信託契約をしておけば、介護施設に入居した後に空き家になった実家や自宅を家族が売却して施設の入居費用や介護費用に充てることができます。
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信託管理人とは?+
受益者が現に存在しない場合のみ、受託者が義務を果たしているかどうかを管理・監督できる権利を行使できるのが信託管理人です。
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信託監督人とは?+
信託の目的に照らし、受益者のために信託事務が適切に遂行されているかを受益者に代わって受託者を監督する立場の人を信託監督人といいます。 信託監督人には特に資格が必要ではありません。未成年者及び受託者以外は信託監督人に就任できます。 司法書士は、信託業法上、受託者には就任することができませんが、信託監督人への就任は可能です。
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受益者とは?+
信託行為によって発生する信託財産に関する収益を受け取る事ができる人です。 受益者は、個人でも法人でもなることができます。 受益者を複数とすることもできます。
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受託者を司法書士にすることはできますか?+
信託業法上、司法書士は受託者になることはできません。
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受託者にはどのような義務がありますか?+
・善管注意義務 受託者は、善良な管理者の注意をもって信託事務を処理しなければなりません。
・忠実義務 受託者は、受益者のために忠実に信託事務の処理をしなければなりません。
・分別管理義務 受託者は、信託財産に属する財産と固有財産(受託者の個人財産)や他の信託財産に属する財産とを、分別して管理しなければなりません。
・公平義務 受託者は、受益者複数の信託において、受益者のために公平にその職務を行わなければなりません。
・帳簿等の作成等、報告・保存の義務等 受託者は、信託財産に係る帳簿その他の書類を作成しなければなりません。
・損失てん補責任 受託者がその任務を怠ったことにより、信託財産に損失が生じた場合または変更が生じた場合、受益者の請求により、受託者は、損失のてん補または原状の回復の責任を負います。
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未成年者は受託者になれるか?+
受託者は信託契約を締結すれば、原則としてもだれでもなることができますが、「未成年者」は、受託者となる事ができません。
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受託者が亡くなったら?+
受託がなくなった場合、受託者の地位は相続されません。 信託契約において、次の受託者が決まっている場合や次の受託者の選任方法がきまっている場合はそれに従います。 信託契約において上記の規定がない場合は、委託者と受益者との合意によって新たな受託者を決めます。委託者がいない場合は受託者が単独で決めることができます。 必要な場合は、裁判所に新受託者の選任の申し立てを行うこともできます。 新受託者が就任しない状態が1年間継続した場合は信託が終了してしまいます、気を付けなければならない点です。
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受託者とは?+
信託財産の管理・処分及びその他の信託の目的の達成のために必要な行為をすべき義務を負う人です。 受託者は基本的にはだれでもなる事ができますが、受託者を特に信頼できる家族にした場合は、家族信託とよばれています。
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委託者が亡くなったら?+
信託契約の場合と遺言信託の場合とで異なります。 信託の契約の場合は、信託契約に特に定めていない場合は、委託者の地位は相続人に相続されます。 遺言信託の場合は、遺言書に特に定めていない場合、委託者の地位や権利は相続されません。
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委託者とは?+
委託者とは保有する財産について、受託者に信託する人です。 所有する財産については、通常所有者自身が管理・処分しますが、信託では受託者が管理・処分をします。
成年後見制度について
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成年後見制度とはどのような制度ですか。+
認知症や障害などにより物事を判断する能力が十分ではない方のために、家庭裁判所に選任された成年後見人等が財産の管理や契約などを行い、ご本人が不利益を被らないよう法的に保護・支援する制度です。
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どのような時に成年後見制度が利用されるのでしょうか。+
認知症などにより判断能力が不十分になると、財産管理が難しくなり、悪質な詐欺被害にあったり不必要な契約を結んでしまう恐れがあります。後見制度を利用することで後見人等が適正に財産管理や契約を行い、本人が不利益を被らないようサポートすることができます。
また判断能力が十分でない方が、金融機関での手続きや不動産に関する契約などご本人にとって必要な契約を行う際にも、後見人等が必要になります。
認知症になった方の預貯金や有価証券の解約は家族が行うことはできず、後見人をたてることが必要になります。
また認知症の方が所有する自宅を売却し施設入所の費用にあてたいと考えた場合、後見人等がまず家庭裁判所の許可を得た上で売却を行い、施設入所契約を行うことになります。
相続の手続きにおいても、相続人の中に判断能力の不十分な方がいる場合、その方を除いて遺産分割協議を行うことはできません。この場合も後見人等を選任して、本人に代わり協議を行う必要があります。
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成年後見制度にはどのような種類がありますか。+
成年後見制度には、ご本人の判断能力が低下した後にはじめる「法定後見制度」と、本人の判断能力があるうちに将来不十分になった場合に備えておく「任意後見制度」があります。
法定後見制度には、判断能力の程度によって「後見」「保佐」「補助」の三つの類型があり、医師の診断などをもとに適切なものを選択して利用できます。
任意後見制度は、本人が元気なうちにあらかじめ任意後見人を選んでおき、公正証書によって任意後見契約を結んでおくものです。本人の判断能力が低下した後、家庭裁判所に選任された任意後見監督人の監督のもと、あらかじめ選ばれていた任意後見人が後見業務をスタートします。
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法定後見制度を利用する場合、どのような手続きが必要ですか。+
支援を必要とする人の住所を管轄する家庭裁判所に、申立てを行います。申立てができる人は法律で決められており、ご本人、配偶者、四親等内の親族などです。
申立てには、申立書や診断書、戸籍謄本といった書類が必要です。申立書類の作成を専門家に依頼することもできます。
提出書類の確認や調査・鑑定などを経て、家庭裁判所が成年後見人(または保佐人・補助人)を選任します。選任の審判が確定すると法務局で登記がされ、後見業務が開始します。
一般的には申立ての準備から後見開始まで3~4カ月ほどかかります。
ふるえ司法書士事務所では、申立てに必要な書類の収集、申立書類の作成をはじめ、成年後見に関する手続きをサポートいたします。お気軽にお問い合わせください。
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申立てには費用は必要ですか。+
申立て費用800円(後見の場合)、登記費用2600円、その他郵便切手代が数千円かかります。別途鑑定料が必要な場合もあります。
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成年後見人への報酬はいくらぐらいかかるのでしょうか。+
法定後見の場合、成年後見人等への報酬はご本人の資産や支援内容をもとに、家庭裁判所が適切な金額を決定します。管理財産額によりますが、月3~4万円が一般的な金額です。
任意後見の場合は、委任される方の様々な条件を考慮したうえで、契約の中で決めることができます。
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成年後見人等にはどのような人が選ばれるのでしょうか。+
申立ての際に親族などの候補者を記載することはできますが、最終的には家庭裁判所が、提出した資料や候補者との面談をもとに、ご本人にとって最も適任だと思われる人を選任します。ご本人の生活・財産状況が複雑である場合などは、弁護士や司法書士などの専門家が選任されます。法人が選任されることもあります。
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選ばれた後見人等に不服がある場合、申立てを取り下げることはできますか。+
原則として、申立ての取り下げは認められません。また、誰を成年後見人等に選任するかという家庭裁判所の判断については、不服申立てをすることはできません。
後見人に不正行為や著しく任務に適さない行為がある場合は、家庭裁判所に解任を請求することができますが、単に気に入らないからという理由では解任することはできません。
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施設に入所する際、成年後見人に身元保証人になってもらうことはできますか。+
成年後見人の役割は財産管理や契約行為において法的に本人を保護・支援することであり、ご本人の身元保証人や身元引受人になることはできません。また実際の介護行為や医療行為(手術や延命措置)についての同意も行うことはできません。
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本人が亡くなったら後見業務はどのようになるのでしょうか。+
本人が亡くなると後見は終了し、後見人は家庭裁判所への報告と後見終了の登記を行います。また財産の収支目録を作成し裁判所に提出したうえで、相続人に財産を引き渡します。
葬儀や亡くなった後の各種の手続きについては原則としては成年後見人の職務に含まれませんが、任意後見契約の場合は死後事務委任契約を結ぶことで、それらの手続きの委任も可能になります。
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任意後見と家族信託はどのように違うのでしょうか。+
家族信託は、本人が元気なうちに財産の管理を信頼できる親族など(受託者)に委託する契約を結んでおき、将来判断能力が低下した場合に備える制度です。任意後見も元気なうちにあらかじめ後見人を選んでおき、将来の財産管理に備えるという点では同様の機能をもつ制度といえます。
ただ、任意後見では本人の判断能力が低下してはじめて後見業務が開始するのに対し、家族信託では本人に十分判断能力があるうちでも、受託者が財産管理を行うことができます。
また、後見制度は家庭裁判所の監督のもと、本人の財産を保護することを目的としているので、財産の使用には厳しい条件がもうけられ、節税対策のため不動産を購入したり、投資をしたりといった積極的な財産の運用はできなくなります。それに対して家族信託では、信託契約の目的の範囲内であれば、受託者が自己の判断で財産管理や積極的な資産運用を行うことができます。
成年後見と家族信託はそれぞれに得意・不得意とするところがありますので、状況・目的に応じて何を選択するのがよいかを判断することが大切です。