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不動産登記

登記識別情報と登記済権利証

2020.10.6


売買や相続で不動産を取得すると、法務局から「登記識別情報」が通知されます。

 

これは不動産の権利を持っていることを証明する重要な情報で、
「登記識別情報通知」と書かれたA4サイズよりやや小さめの紙の下部に、
不動産の権利を表すパスワードが折込式になって目隠しされているものです。
(現在はすべて折込式ですが、少し前の登記識別情報通知はA4サイズのシール式でした。)

 

この情報は権利者であることを証明する重要なものなので、
下部の折り込み(シール)を剥がさないように気をつけて、
厳重に保管・管理しておくことが大切です。

 

現在はこのように、「情報」(パスワード)として不動産の権利が管理されていますが、
以前は「権利証」(登記済証)という紙の書類が発行されていました。
こちらの「権利証」という呼び名のほうが馴染みのある方が多いかもしれません。

 

 

平成17年に不動産登記法が改正され、
各地の法務局ごとに順次、現在のパスワード型の登記識別情報に切り替わりましたが、
それ以前に取得した不動産には、いわゆる紙の「権利証」が発行されていました。
様々な形のものがありますが、申請内容を記載した紙を綴じて冊子状にし、
表紙に「登記済権利証書」などと記されているものが多く見られます。

 

権利証(登記済証)には、登記申請の内容や物件の記載の後に、
法務局の朱印(登記済である旨、受付年月日、受付番号)が押されています。
この法務局の印が押されていることが権利の証明となるので、
権利証はコピーでは代用できず、朱印のある現物でないと効力がありません。

 

その点、登記識別情報はあくまで「情報」であり、紙に記載されてはいますが、
重要なのは紙そのものではなくパスワードです。
登記申請時に提出するのもパスワードであり、この点も現物を提出する登記済権利証と異なるところです。

 

登記識別情報も登記済権利証も、姿かたちは違いますが、
権利を証明する重要なものであることに違いはありません。
不動産を売買・贈与したり、融資を受けたりするときに、
これらの識別情報や権利証が必要になります。

 

どちらも紛失したら再発行はできません。万が一紛失してしまった場合は、
登記官の事前通知や司法書士による本人確認情報の作成といった手続きが必要になりますので、
保管・管理には十分注意するようにしましょう。

 

 

 

(参考)
◇不動産登記法 第2条第14号 登記識別情報
第22条本文の規定により登記名義人が登記を申請する場合において、
当該登記名義人自らが当該登記を申請していることを確認するために用いられる符号その他の情報であって、
登記名義人を識別することができるものをいう。

 

◇不動産登記法 第21条 登記識別情報の通知
登記官は、その登記をすることによって申請人自らが登記名義人となる場合において、
当該登記を完了したときは、法務省令で定めるところにより、
速やかに、当該申請人に対し、当該登記に係る登記識別情報を通知しなければならない。
ただし、当該申請人があらかじめ登記識別情報の通知を希望しない旨の申出をした場合
その他の法務省令で定める場合は、この限りでない。