管轄が異なる複数の不動産を共同担保とする共同根抵当権の設定登記を申請する場合、
原因証明となる設定契約書や、追加設定の減税を受けるための前登記証明書の取り扱いに注意が必要です。
先日、A登記所とB登記所それぞれの管轄の複数の不動産につき、共同根抵当権の設定登記を行いました。
まずA登記所に設定登記をオンライン申請し、続いて同日付でB登記所に追加設定登記を申請しました。
〈登記原因証明情報〉
今回の根抵当権者は甲銀行と乙銀行の2行で同順位設定でした。
甲銀行は契約書と別に登記原因証明情報が2通用意されており、それぞれの管轄に提出することができましたが、
乙銀行は設定契約書が1通しかなく、管轄局に相談の上、A局の登記完了後、原本返却を待ってB局へ提出しました。
〈前登記証明書〉
追加設定には共同担保関係の証明として、また登録免許税の減税のため、
前管轄での登記内容を確認できる「前登記証明書」(登記事項証明書)の添付が必要です。
今回は同日申請のため、こちらもA局の完了後に共同担保目録付きの謄本を取得し、
①の設定契約書といっしょに追完する形になりました。
この登記事項証明書は、共同担保目録があれば物件が複数でも1通で大丈夫です。
参考:不動産登記事務取扱手続準則 第112条(前の登記に関する登記事項証明書)
令別表の47、49、56及び58の項添付情報欄ロに掲げる前の登記に関する登記事項証明書は、
他の登記所の管轄区域内にある不動産が2以上あるときであっても、
他の登記所ごとに登記事項証明書(共同担保目録に記録された事項の記載があるものに限る。)を
1通提供すれば足りる。
抵当権・根抵当権設定登記の登録免許税は債権額(極度額)×1000分の4であり、
仮に債権額(極度額)が1億円なら40万円の免許税がかかります。
担保物件の追加設定については登録免許税法第13条第2項に減税措置が定められており、
減税証明(前登記の登記事項証明書)を提出すれば
追加担保物件1筆につき1500円になるので、大きな差が出てきます。
今回の申請では、B局の追加設定の申請情報には前登記の表示として
A法務局受付年月日・受付番号、不動産の情報を記載の上、
「設定契約書と前登記証明書を追完する旨」を添付書類に注意書きして提出しました。
A局にも他管轄申請がある旨を伝えて急ぎでの対応をお願いしました。
このような対応は管轄によって違いもありますので、事前に管轄登記所に確認しておく方がよいと思います。
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