民法では結婚している(法律上の婚姻関係にある)男女の間に生まれた子を「嫡出子」、
婚姻関係にない男女の間に生まれた子を「非嫡出子」と定義しています。
母親が未婚で出産した子や事実婚の男女の間に生まれた子は非嫡出子です。
非嫡出子は、血のつながりはあっても父に「認知」されなければ法律上の父子関係は生じず、
父の相続人になりません。
認知の事実は戸籍に記載されるので、相続の際に被相続人のすべての戸籍を遡って取得するのは、
認知した子などの相続人がいないかを調べるためでもあります。
婚姻関係にない男女の間に生まれた子は、出生届が提出されると母親の戸籍に入り、
氏(名字)も母の氏となります。
母親がまだ親の戸籍にいる場合は分籍して母親が筆頭者となる戸籍が作られ、子もそこに入ります。
このとき子が父に認知されていなければ「父」の欄は空欄です。
父親に認知されると、認知日や父の名前が戸籍に記載され、その記載が父との相続関係の証明になるのです。
認知されると父との関係が生じますが、何もしなければ母の戸籍に入ったままで、
自動的に父の戸籍に入るわけではありません。
父の戸籍に入るということは父の氏を名乗ることになりますが(同一戸籍同一氏の原則)、
そのためには家庭裁判所で「子の氏の変更許可申立て」をしなければなりません。
また父の認知後に、父と母が結婚すると子は嫡出子の身分となりますが(婚姻準正)、
この場合も子は母の戸籍に残ったままなので、父母の戸籍に入籍し同じ氏にする届出が必要です。
以前の民法では非嫡出子の法定相続分は嫡出子の2分の1とされていましたが、
平成25年の最高裁判決によりこの差別が法の下の平等に反するとされ、
現在では嫡出子と非嫡出子の相続分は等しくなりました。
権利としては対等ですが、親亡き後、嫡出子と非嫡出子が一緒に遺産分割協議をするとなると
やはり精神的な負担も大きいものです。
諸々に配慮した遺言書の作成など親側の対応も求められるでしょう。
法改正により、本年4月から相続登記が義務化されます。
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