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相続・遺言

未成年者の相続登記

2020.11.17


 (注)民法が改正され、これまで20歳だった成年年齢が、2022年4月1日より18歳に引き下げられることになりました。

 

未成年者は原則として、契約などの法律行為を一人で行うことはできません。
通常、親権者である親が、未成年の子の法定代理人として契約等を行います。

 

相続においても、相続人に未成年者がいる場合、原則として親権者が未成年の子を代理して相続登記を行うことができます。
(登記実務においては、意思能力のある未成年であれば単独での申請も可能とされていますが、以下では親権者が代理して行う場合を考えてみます。)

 

相続の内容によって、親権者が子の代理人となって申請できる場合と、家庭裁判所が選任する「特別代理人」が必要な場合とがあります。
特別代理人の選任が必要なのは、親子で遺産分割協議を行う場合です。
遺言書がある場合や法定相続分に従って相続する場合は、特別代理人は必要ありません。

 

 

たとえば、父親が亡くなり、母親と未成年の子ども1人が相続人である場合、父の名義になっている自宅の相続登記(名義変更)を考えてみましょう。

 

① 父親の遺言書がある場合、特別代理人は必要ありません。「自宅を母親に相続させる」という遺言の場合は母親が一人で、「子どもに相続させる」という内容であれば母親が子ども(申請人)の法定代理人として、登記申請できます。
母親が法定代理人として申請する場合、母が親権者であることを証する書面(親子関係がわかる戸籍)を添付します。(法定相続情報一覧図の写しでは代用できません。)

 

② 遺言書がなく、法定相続分に従って母と子が2分の1ずつ相続する場合も、母親が子の法定代理人として相続登記を申請できます。特別代理人は必要ありません。
法定相続分に従った相続登記は母親一人が申請人となって行うこともできますが、その場合、登記識別情報通知(権利証)が母親にしか通知されません。将来子どもが大きくなった時のためにも、できれば母と子の両方が登記の申請人となり、どちらにも識別情報が通知されるようにしておいた方がよいかと思います。

 

③ これに対して、遺産分割協議を行って法定相続分(母2分の1・子2分の1)とは異なる分け方をする場合には、子どものために家庭裁判所に「特別代理人」を選任してもらい、母親と特別代理人とで分割協議を行う必要があります。
母と子が共同相続人として遺産分割協議を行うと、親と子の利益が相反する(親が子どもの財産を不当に奪うことになる恐れがある)からです。
たとえ「子が1人で相続する」といった子に不利益のない内容であったとしても、母と子の協議では子の意思が反映されないおそれもあるため、特別代理人は必要になってきます。
また子どもが複数いる場合は、特別代理人も子どもの人数だけ必要です。

 

特別代理人の選任については、未成年者の住所地の家庭裁判所に選任の申立てをします。戸籍謄本や遺産分割協議案、収入印紙800円や郵便切手代などが必要です。
司法書士が特別代理人候補として申立てのサポートを行うこともできます。
相続人に未成年のお子様がいる場合の相続手続きはご相談ください。