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相続・遺言

夫婦相互遺言について

2022.11.15


相続において「遺言」の存在はとても大きな意味を持ちます。

遺言がある場合は原則として遺言書通り、亡くなった方の意思に従って相続手続が進められます。
遺言書がない場合は民法で定められた相続分に従って相続するか(法定相続)、
相続人全員による話し合い(遺産分割協議)が必要になります。
遺産分割協議書には相続人全員に実印をもらわなければいけません。

 

遺産をめぐるトラブルの多くは遺言書がないケースに発生しています。
亡くなった方が遺言を残されていれば回避できたであろうトラブルが少なくないのです。

 

とくに遺言書を作成するのがよいと思われるのは次のような方です。

・ 子どもがいないご夫婦
・ 前婚の子どもがいる
・ 法定相続人以外の人(子どもの配偶者、孫、内縁関係のパートナー等)に
  財産を渡したい
・ 相続人がいない(寄付したい)等

今回はとくに子どもがいないご夫婦の「夫婦相互遺言」についてご紹介します。

 

結婚しているが子どもがいないご夫婦の場合、どちらかが亡くなると
残された夫か妻がすべての財産を相続すると思われている方も多くいらっしゃいますが、
亡くなった方の親が存命の時は「配偶者と親」、
親は亡くなっているが兄弟姉妹がいる場合は「配偶者と亡くなった方の兄弟姉妹」が相続人となります。

 
例えば夫名義の自宅や預貯金を妻が相続する場合、
夫の親や兄弟姉妹(場合によってはおい、めい)の実印が必要になります。
夫の実家との関係が良好で何事もなくまとまる場合は良いですが、
疎遠な場合は印鑑をもらいに行くのも負担が大きいでしょう。

 
このような場合、
「自分が先に死んだら配偶者にすべて相続させる」旨の遺言を夫婦がお互いに残していれば安心です。
この「夫婦相互遺言」は、どちらが先に亡くなっても残された配偶者に財産を残せますし、
「予備的遺言」という形で、夫婦が二人とも亡くなった後の財産の帰属先(寄付やお世話になった人)を
指定しておくこともできます。

 
ただし、遺言では「共同遺言」(共通の1通の遺言書に連名で遺言する)が禁止されており、
形としては夫婦それぞれが1通ずつ自分の名前で作成することが必要です。

 
形式的な不備がないよう、公正証書で遺言を作成されることをお勧めします。
ご夫婦で築かれた財産を最終的にどのようにされるか、
状況やご希望によって内容も変わってくると思われますので、
作成をお考えの方はご夫婦でお気軽にご相談ください。