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相続・遺言

相続を原因とする「一部」移転登記ができる場合

2024.7.1


相続登記においては、所有権の「一部」移転は原則認められていません(昭和 30.10.15 民 甲 2216)。
 
たとえば亡くなった父の不動産を2人の子が相続する場合、
子の一人が先に自分の相続 分2分の1だけ一部移転登記することはできません。
そうすると亡き父と子が不動産を2 分の1ずつ共有するという
実体にそぐわない状態が登記記録に生じてしまうからです。
 
しかし敷地権化されていないマンションの土地の登記簿を見ていると、
相続を原因とする持分「一部」移転登記がされていることがあります。
 
敷地権化されているマンションでは、
部屋(専有部分)の所有権移転登記をすれば敷地持分も自動的に移転しますが、
敷地権化されていないマンションの場合、
建物は所有権移転、土地は持分移転登記を別に行う必要があります。
 
 
そのようなマンションに101号室と201号室、二つの部屋を所有していた A さんが 亡くなった場合、
相続登記はどのように行われるでしょうか。
 
まず建物については、二つの部屋をいっしょに相続人名義に所有権移転登記できます。
 
土地については A さんの持分を移転するのですが、
持分「全部」移転登記を行うと、
101号室と201号室の両方の部屋に対応する敷地持分がすべて一括で移転され、
土地の登記識別情報が1通しか通知されません。
 
建物はそれぞれの部屋ごとに別々の識別情報が通知されますが、
土地の識別情報は1通となってしまい、
たとえば将来101号室だけを売りたいといった場合に不都合が生じる可能性があります。
 
したがって、101号室の土地と201号室の土地を分けて移転することで識別情報を2通に分け、
それぞれの部屋に対応する敷地持分をわかりやすくしておくことが望ましいと言えます。
 
 
登記申請としては
1 A 持分一部(順位〇番で登記した持分)移転 2 A 持分全部移転
と2段階で行います。
このように相続が原因でも持分の「一部」移転登記が認められる場合があります。
 
 
2024年4月より相続登記の義務化がスタートしました。
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