不動産の登記簿には、その不動産の所有者がいつどのような原因で所有権を取得したかの履歴が載っています。
年月日売買、年月日相続、年月日贈与・・・様々なものがありますが、「譲渡担保」という原因が登記されていることがあります。
2 所有権移転 年月日売買 所有者A
3 所有権移転 年月日譲渡担保 所有者B
譲渡担保というのは、債務の担保としてあらかじめ目的物(の所有権)を債権者に移転しておき、弁済や解除があればもとの所有者に返還するという形の担保権です。
不動産に譲渡担保が設定されると所有権が債権者(B)に移転し、その後弁済があると所有権は再び設定者(A)に復帰します。
不動産の典型的な担保権としては抵当権があります。
抵当権も譲渡担保も当事者の契約により設定でき、設定者が住み続けることができる点で共通点がありますが、
譲渡担保は抵当権のような裁判所の競売手続を経ずに実行することができます。
弁済がなければ所有権は確定的に債権者に帰属し、換価処分され差額があると清算金が交付されます。
譲渡担保は質入れのように担保物を引き渡さなくても設定できるので、
もともと動産について広く使われてきました。
事業者が借入れをする際、経営を続けながら工場の機械器具や倉庫内の商品などを一括して譲渡担保の目的とする「集合動産譲渡担保」もあります。
不動産の登記記録に譲渡担保とある場合、このような担保設定契約が交わされているということを表しています。