売買や相続による所有権移転の際、不動産についている仮登記を抹消することがあります。
仮登記は本登記すべき条件が整っていない場合や条件付きの権利を保全するため、
あらかじめ順位を確保しておく予備的な登記です。
登記簿に仮登記がされると、将来の本登記のために「余白」が設けられます。
先日相続登記のご依頼があった方の登記簿では、亡くなった所有者から生前「贈与予約」を原因として
相続人への仮登記がなされていました。
相続により仮登記の権利者がそのまま所有者になったため、この仮登記は「混同」を原因として抹消することになりました。
1 所有権移転 年月日売買 所有者A
2 所有権移転請求権仮登記 年月日贈与予約 権利者B
(余白抹消)
3 所有権移転 年月日相続 所有者B
4 2番仮登記抹消 年月日混同
混同を原因とする抹消登記は、相続人であるBさんが「権利者兼義務者」として単独で申請しますが、
仮登記権利証や印鑑証明書は添付します。
登記原因証明情報については登記記録から混同が明らかであり「添付省略」できました。
なお混同の原因日付は、相続開始の日(被相続人の死亡日)となります。
混同による抹消は、ほかにも抵当権者がその不動産を取得して所有者になった場合など、
権利者と義務者が同一人になって権利を存続しておく意味がなくなった場合に申請します。