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相続・遺言

法定相続人と相続分① ~養子と実子~

2022.9.29


遺産分割協議では誰がどの財産をどれだけ相続するのか、
相続人の間で自由に決めることができますが、
自分たちの法定された相続分がどのくらいなのかを知っておきたいという方は多いと思います。

民法では以下のように法定相続分が定められています。(民法900条)

例1) 配偶者はすでに他界しており、子どもが3人いる。→それぞれの子どもが3分の1ずつ
例2) 配偶者はいるが子どもがおらず、親・祖父母も他界していて弟が1人いる。→配偶者4分の3、弟4分の1
例3) 妻子はおらず、母と兄弟がいる。→母がすべて相続

 
基本的にはこのようなパターンなのですが、
ご家族によっていろいろと複雑なケースもあります。

 

例えば、亡くなった父に
・離婚した前妻との間に子どもがいる。
・養子縁組した養子がいる。
・認知した子どもがいる。
これらの子はすべて相続人となります。

養子と実子、嫡出子(法律上の婚姻関係にある夫婦から生まれた子)と非嫡出子、
いずれも同じ相続分です。
(H25年9月5日民法改正により、それまで嫡出子の2分の1だった非嫡出子の相続分が
嫡出子と同等になりました。)

 

養子縁組には、一般的な普通養子縁組と
特別な場合に家庭裁判所の審判によって認められる特別養子縁組がありますが、
普通養子縁組では子どもと実の親との関係は終了せず、
子どもは実親と養親双方の相続人となります。
戸籍にも両方の親が記載されます。

 

普通養子縁組は再婚相手の子を養子にしたり、
娘婿を養子にするなど一般的に行われています。
子連れ再婚の際、相手の子と養子縁組していないと
自動的には自分の相続人にならないので注意が必要です。

 

相続税対策として養子縁組をされる方も多くいらっしゃいます。
相続税には基礎控除額があり(3000万円+(600万円×法定相続人数))、
法定相続人が多いほど控除額が多くなるからです。
ただし、民法では養子の数に制限はありませんが、相続税法では養子の数に制限が設けられています
(被相続人に実子がいる場合は法定相続人に加えることができる養子は1人まで、実子がいない場合は2人まで)。

 

子どもは親の事情を選ぶことができません。
今回は養子と実子について書きましたが、
相続においては養子も非嫡出子も同じ被相続人の子として
同等の法定相続人の身分が認められているのです。