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不動産登記

期間満了による買戻権抹消登記

2022.3.3


登記簿に所有権と並んで「買戻特約」が登記されている不動産があります。

 

買戻特約は不動産の売買にあたって、売主が後日、売買代金と契約費用を
買主に返還して売買契約を解除できる(不動産を取り戻せる=買い戻せる)特約で(民法579条)、
所有権移転の登記と同時セットで登記されます。

 

この特約は、購入した物件に住まずにすぐ転売されるのを防ぐため、
住宅供給公社が分譲したマンションなどについていることが多いです。
買戻しの期間は10年を超えることはできず、
期間を定めなかったときは5年となります(民法580条)。
期間が過ぎても買戻特約の登記は自動的に抹消されるわけではなく、
現在の所有者と買戻権者とで抹消登記を申請する必要があります。

 

(*)2021年4月に成立した改正不動産登記法により、
契約の日から10年たった買戻特約は、
権利者(所有者)が単独で抹消できることになりました(第69条の二)。
(施行は2023年4月の予定)>>>>「買戻特約」

 

先日、相続登記の依頼を受けて物件の登記簿を確認したところ、
買戻特約の登記がついていました。
期間は「平成19年3月11日まで」となっており、
すでに期間は満了しているのですが、何もしなければこのまま登記が残ってしまいます。

相続登記にあたっていっしょに買戻権の抹消も行うことになり、
買戻権者に連絡して抹消書類を準備しました。

 

ちなみに期間満了を原因とする買戻権抹消登記の原因日付は、
期間満了の翌日(今回は「平成19年3月12日買戻期間満了」)となります。

期間が満了している買戻特約は、
すでに効力はなくなっているのですが登記は残ってしまうので、
今回の相続登記のように気づいた時に抹消の手続きをするのをおすすめします。

期間が満了して長い年月がたつと、
その間に買戻権者の会社が合併したりなくなってしまったりすることもあるので、
いざ抹消しようとしても手続きに非常に手間がかかる場合があります。

 

特に不動産の売却を考えている場合は、買戻特約の抹消は必ず必要になってきますので、
早めに手続きされるのが良いと思います。