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不動産登記

海外在住の日本人が売主となる不動産登記

2022.4.10


海外在住の日本人が日本にお持ちの不動産を売却する場合、どのような書類が必要なのでしょうか。

 

通常の所有権移転登記では、売主は委任状等の書類に押印する実印と印鑑証明書が必要です。
登記簿上の住所と現在の住所が異なる場合は住民票(戸籍の附票)も必要になります。

 

しかし日本に住民登録のない在外邦人の方はこのような書類が取得できません。
(在外公館によっては印鑑登録・印鑑証明書の発行を行っているところもあります。)

 

このような場合、印鑑証明書の代わりになるのが「署名証明書(サイン証明書)」、
住民票の代わりになるのが「在留証明書」です。

 

署名証明書(サイン証明書)は、海外に住む日本人のために
在外公館で印鑑証明書の代わりに発行されるもので、
証明を受けるご本人が在外公館に出向き、領事の面前でサイン(署名)を行って、
申請者本人のサインに間違いないという証明を受けるものです。
 
不動産登記では、実印の必要な書類をあらかじめ準備して在外公館に持参し、
領事の面前でそれらの書類にサインを行い、サイン証明書と一緒に綴り合せて
割印を受ける形の証明が用いられます。
 
在留証明書は、海外に居住する日本人の住所証明にあたり、居住地の在外公館で発行されます。
不動産の売却にあたって登記簿から住所が変わっている場合、
海外在住の方はこの在留証明書を住所証明として添付して住所変更登記を行います。
 
住所変更の登記では住所を移転した日を登記原因日付とするのですが、
海外在住の方の場合、原因日付はいつになるのでしょうか。
 
今回、インドネシアにお住まいの売主様の住所変更登記にあたり戸籍の附票を確認すると、
「住所 インドネシア」「住定日 〇年〇月〇日」とだけ記されています。
国名だけで具体的な住所までは記されていません。
 

この住定日を原因日付とできるかどうかですが、
これだけでは海外で住所を定めた正確な日付としては扱われないようです。
在留証明書を取得して、移転日が記載されていればその日付、記載されていなければ
「年月日不詳住所移転」の原因となるようです。
 
海外で何度も転居されていて住所の沿革がつかない場合などは、
法務局に確認し上申書など個別の対応が必要になるでしょう。
 
今回インドネシアで取得された在留証明書には住所を定めた年と月のみ記載されており、
「〇年〇月日不詳住所移転」という登記原因になりました。
 
海外在住の方の不動産売買では、通常の登記と異なり手続きが複雑になります。
在外公館が遠方にある場合もあり、
必要書類を取得するのに時間や手間がかかる可能性がありますので、
十分な時間的余裕をもって準備をする必要があります。
 
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