不動産の登記記録に「委任の終了」を原因とする所有権移転の登記がされていることがあります。
相続登記の依頼のあった不動産の登記記録の中に、同じ被相続人の名義なのですが
「年月日委任の終了」を原因として移転されている土地がありました。
この登記原因は、町内会や自治会などの「権利能力なき社団」と言われる
法人格のない団体が所有する不動産について、代表者の変更があった場合に登記されるものです。
団体から代表者へ登記名義の委任がされており、代表者が変わることで委任も終了するという意味です。
このような法人格のない団体は、不動産を所有しても団体名義で登記することはできません。
代表者の個人名義か、構成員全員の共有名義として登記されることになります。
被相続人の名義になっていても、「委任の終了」を原因として移転されているということは、
被相続人個人の財産ではなく団体の所有する財産だということを表しています。
相続財産ではないので相続登記によって相続人に移転することはできません。
旧代表者から新しい代表者へ、「委任の終了」を原因として所有権移転登記をすることになります
(旧代表が亡くなっている場合はその相続人全員が義務者となります)。
権利能力なき社団所有の不動産は、登記記録を見ても〇〇会代表などの肩書もなく個人名しか載っていないので、
一見すると他の相続財産と同じように相続登記されてしまう可能性があります。
過去にあやまって相続人名義に登記がなされている場合は、一度相続登記を抹消してから
新代表者に移転しなければなりません。
登記記録に「委任の終了」という登記原因がある不動産は、個人所有ではないということに
注意する必要があります。
なお地域の自治会や町内会は、要件を満たし市町村長の認可を受けると地縁団体として
法人格を取得することができます(認可地縁団体)。
認可されると団体名義での不動産登記が可能になります。
2024年4月より相続登記の義務化がスタートしました。
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