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不動産登記

所有権更正登記と登記識別情報

2020.8.29


 

売買、贈与などにより不動産の所有権移転登記を行う際には、義務者(売買であれば売主さん)の権利証(登記識別情報)が必要になります。

 

登記識別情報は不動産ごとに、また登記名義人となった申請人ごとに通知されます。

たとえば土地と建物を1筆ずつ、どちらもAさんとBさんが共有で取得した場合、全部で4通の識別情報が通知されます。

この土地と建物を売却する際には、4通すべての識別情報が必要になります。

 

また所有権を複数回にわたって取得している場合、それぞれの取得の際に交付された識別情報がすべて必要になります。

たとえばAさんが所有する土地の売却を考えていますが、この土地は

①亡くなった父の土地を母とAさんで2分の1ずつ相続した

②その後母も亡くなり、母の持分2分の1もAさんが相続してAさんの単有になった

という経緯がある場合、売却にあたっては①父の相続登記の際に交付された識別情報(2分の1の権利)と、②母の相続登記の際に交付された識別情報(2分の1の権利)の両方を提出しなければなりません。

 

登記記録について

さて、今回売買する物件には錯誤を原因とする所有権の更正登記が入っており、一度共有で登記された後に、売主さんの単有に更正されていました。

登記記録は次のようになっています。

 

 

最初の所有権移転登記でAさん、Bさん、Cさん3人の共有と登記されていたものが、その後の更正登記によりBさんの単有にされています(下線は抹消されたことを表しています)。

このBさんが今回の売買の売主です。

Bさんは最初の移転登記①でも次の更正登記②でも識別情報を通知されています。

この場合、売却にあたってどの識別情報を提出すればよいのでしょうか。

 

一般的な感覚では、最初の登記は間違っていたのだから、後の更正登記の際に通知されたものを提出すればよいと思われそうです。

しかし、権利取得の過程としては、最初の移転で4分の1の権利を、後の更正登記で本来の権利状態にするため残り4分の3を取得して、結果Bさん単有の所有権になった、と考えます。

したがって、最初に間違えて登記された際の識別情報も、4分の1の権利を証するものとして生きていて、①②両方の識別情報が必要となるのです。

(ただし、持分だけの更正(Aさん2分の1、Bさん2分の1→Aさん3分の2、Bさん3分の1に更正)では、登記識別情報は新たに通知されません。この場合は元の識別情報を提出することになります。この辺の違いはわかりにくいところですので、ケースに応じて司法書士にご確認ください。→下の所有権更正登記と登記識別情報の通知例参照)

 

更正登記をされる方には司法書士から説明があると思いますが、今回のように更正したといっても前の識別情報が生きている場合もありますので、捨ててしまわないようにしてくださいね。将来売却などの際に必要になってきます。

 

 

参考

【不動産登記法 第21条】

登記官は、その登記をすることによって申請人自らが登記名義人となる場合において、当該登記を完了したときは、法務省令で定めるところにより、速やかに、当該申請人に対し、当該登記に係る登記識別情報を通知しなければならない。

 

【不動産登記規則 第61条】

登記識別情報は、アラビア数字その他の符号の組合せにより、不動産及び登記名義人となった申請人ごとに定める。

 

 

~所有権更正登記と登記識別情報の通知例~

(1) A → A・Bに更正 ・・・Bに通知

(2)A・B → Bに更正  ・・・Bに通知

(3)A1/2・B1/2 → A2/3・B1/3に更正(持分のみ) ・・・通知されない

(4)A→B(所有権移転)をA→B1/2(所有権一部移転)に更正 ・・・通知されない

(5)A→B1/2(所有権一部移転)をA→B(所有権移転)に更正 ・・・Bに通知