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相続・遺言

相続法の変遷

2020.8.28


 

相続登記では、登記名義人(被相続人)の亡くなった時=相続開始時に施行されていた民法が適用されます。

随分前に亡くなった方の相続登記をされる場合、どの時期の民法が適用されるのかを確認する必要があります。

 

① 明治31年7月16日~昭和22年5月2日に相続開始 →旧民法が適用

戦前の旧民法による相続では「家」制度が重視され、戸主(家長、一家の代表者)については基本的に長男が一人で相続する「家督相続」という制度がありました。

現在のように配偶者や子どもたちが均等に相続する形とは大きく異なるものでした。

(詳しくは→リンク「旧民法による相続」)。

 

② 昭和22年5月3日~昭和22年12月31日に相続開始 →「日本国憲法の施行に伴う民法の応急的措置に関する法律」

この時期の相続は昭和22年5月3日の日本国憲法施行に伴い、旧民法の古い制度を応急的に廃止した特別法が適用されます。

家督相続制度は廃止され、相続順位や相続分は③の新民法と同様になりましたが、兄弟姉妹の代襲相続の規定がないなど、新民法と異なる点もあります。

 

③ 昭和23年1月1日~昭和55年12月31日に相続開始 →新民法(改正前)

昭和23年1月1日施行の新しい民法が適用されます。昭和55年の改正前の民法にあたります。

現行民法と異なる主な点は、配偶者の相続分が現在に比べ少ないこと(リンク→表「改正前後の相続分の比較」)、兄弟姉妹の代襲相続人に制限がないこと(おい・めい以下も相続が可能)などです。

たとえば父が亡くなり、母と子ども2人が相続する場合、現行民法だとそれぞれの相続分は「母 2分の1、子4分の1ずつ」となりますが、改正前のこの時期に相続が開始していると、相続分は「母 3分の1、子 3分の1ずつ」となります。

 

④ 昭和56年1月1日以降に相続開始 →新民法(現行民法)

昭和56年以降に被相続人が亡くなっている場合は、現行の民法が適用されます。

改正前に比べ配偶者の権利が拡大され、相続分が引き上げられました。また兄弟姉妹の代襲相続については「おい・めい」までと制限されました。

 

【表:改正前後の相続分の比較】