相続人の中に相続放棄をした人がいる場合、それを証明する書類として
「相続放棄申述受理通知書」、「相続放棄申述受理証明書」があります。
相続放棄申述受理「通知書」は、家庭裁判所に相続放棄の申述をして受理されると
自動的に通知されるもので、1通だけで再発行はされません。
一般的に債権者にはこの通知書を提示すればよいようです。
一方、相続放棄申述受理「証明書」は、相続放棄が受理された後、
申述人本人や利害関係人から交付を請求できるもので、
1通150円かかりますが何通でも請求可能です。
相続登記の申請においては、相続放棄者がいることの証明として、
以前は相続放棄申述受理「通知書」ではなく、
相続放棄申述受理「証明書」の添付が必要とされてきました(登記研究720号)が、
その後の取り扱いの変更により、「通知書」も相続登記の添付書面として認められることになりました。
――相続を原因とする所有権の移転の登記の申請において、
相続放棄申述受理証明書と同等の内容が記載された
「相続放棄等の申述有無についての照会に対する家庭裁判所からの回答書」や
「相続放棄申述受理通知書」を登記原因を証する情報の一部とすることができる。
(登記研究808号、平成27年6月号質疑応答)
ただし、どのような場合も通知書で登記申請できるかというとそうではありません。
上にあるように
「相続放棄申述受理証明書と同等の内容が記載された」相続放棄申述受理通知書であればOK、
という条件がついています。
相続放棄申述受理「証明書」には、被相続人の氏名のほかに本籍や死亡年月日も記載されますが、
「通知書」には被相続人の氏名しか記載がないものもあります。
実際、問い合わせをした神戸の管轄登記所では、通知書に「被相続人の本籍」の記載がないため、
添付書面としては通知書では足りず「証明書」を提出するよう言われました。
管轄により取り扱いが異なると思われますが、金融機関でも証明書を要求するところもあるようなので、
証明書を取得しておいた方が無難というところでしょうか。
(相続放棄申述受理証明書は、放棄をした人以外の相続人も利害関係人として請求できます。)
当事務所では相続放棄手続きのご相談も承っております。
相続放棄の申立ては被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に申述書を提出して行いますが、
郵送での手続きも可能ですので、遠方の場合もご相談いただければと思います。